アメリカ産のお米 カルローズ 商品名 かろやか
イオンが販売するカリフォルニア米 かろやか
大手流通グループのイオンが6月上旬からアメリカ産のお米カルローズ 米を、
商品名「かろやか」として4kg 2680円(税抜き 店舗により価格差あり)で
販売を始めました。日本国産の一般的な銘柄米が価格高騰で購入しづらい中、比較的
購入しやすい値段でのアメリカ産米の今後の売れ行きが気になります。

カルローズ 米の詳細を記述してみます。
Calrose(カルローズ )は、アメリカ・カリフォルニア州で開発された中粒種
(ミデアムグレインライス)のお米で、主に西海岸・特にカリフォルニアにて広く
栽培され、日本のお米に似た粘りと食味を持ちます。元となった品種名は、Caloro
(カロロ) 、Calady(カレディ)で、この二つの品種の交配によって誕生しています。
Caloroの起源を遡ると、日本の在来品種「朝日」や「亀の尾」がルーツだと考え
られているので、この点からカルローズ の始原に当たるお米は日本の明治初期に
栽培されていた良食味品種がルーツになっています。
開発時期は1948年ごろ、誕生地はカリフォルニアの米作研究機関「Biggs Rice
Experiment Station」現在の California Rice Experiment Station で開発されており、
当時アメリカの消費者の嗜好と農業環境に適応した粘り気のあるお米が求められており、
日本の在来品種を基にしながら耐病性や収量性を高める育種が行われていました。
名前の由来は、Calはカリフォルニア、Roseは当時の優良米に与えられた慣習的な
名称の一部のようで、それによりCalroseという名が誕生したようです。
特徴は中粒でやや粘りあり、中華料理、日本・韓国料理、寿司などに適している
とされ、アメリカ国内の消費において約80%を占める中粒種として重要な位置を
占めています。
このカルローズ 米はかつて沖縄県がアメリカの統治下にあった当時、県内の市場に
流通していた事があったようです。それ以降は近年でも日本にミニマム・アクセス米
(MA米)として国内に入ってきています。
MA米とはWTOのウルグアイ・ラウンド合意(1995年)に基づき、日本が毎年輸入
する義務があるお米で、年間約77万トンのMA米が国内に輸入され、その総量の約半分
(35~40万トン)はアメリカからの輸入になり、主力の品種としてカルローズ 米が
大部分となっているようです。
こうして日本国内に輸入されているカルローズ 米ですが、市場に流通する場合は
主に加工用(米菓子・煎餅など)や業務用(外食・給食)などとして流通しているよう
なので、カルローズ 米はあまり一般の消費者に知られない形態で出回っているかと思います。
しかし、ここ最近の国産の銘柄米の高騰化のせいか、企業や会社が一般の主食用として
取り扱い・販売を決定したとの報道が見られます。イオン以外にも 横浜市のスーパー
「オーケー」がカルローズ 米の販売を10店舗限定で始めた事が報道されていました。
価格は5kg3335円(税込)。売れ行き次第で今後の販路拡大を決定されるようです。
イオンの かろやか は4kg包装、一般的なお米のパッケージング
(2kg、5kg、10kg)重量とは異なっていますが、これは価格を2千円台に
留めてお得感を出そうというイオンさんの戦略もあるかと思います。
これらは民間輸入になりますので、1kgあたり341円の関税が掛かります。
カルローズ 米は輸送費などを含めても仕入れ値は1kg150円程度だとされ、
関税や利益分を上乗せしても採算が取れるようです。
かろやかの流通の仕組み・形態は
イオンはカルローズ 米を大手の総合商社を経由して
仕入れ・販売を行なっています。
大雑把な流通の仕組みとしては、
輸入 → 大手商社の倉庫 → 国内精米業者 → 包装業者 → イオン各店舗へ
かと思われます。
かろやか の裏面の印字を見ると、丸紅や神明の記載が見られるので、
商社の丸紅さんや大手の米流通卸業者の神明さんが かろやか の輸入を
担当されているのだと思います。

それぞれの流通の仕組み・形態を観て見ます。
まず、丸紅を経由して輸入された かろやか(カルローズ 米)は、この点は
推測による記述になりますが、日本国内の専門の精米業者や包装業者にて精米・
包装の業務を得た後、それぞれの店舗へと搬送され、店頭に並びます。
(海外で精米処理をされている可能性もあります) 丸紅経由の かろやか
はイオンではなく、関東圏のダイエー、いなげや、Big-A といった店舗で販売されて
いるようです。
一方で、神明を経由して日本に輸入される かろやか は、すでに現地の
アメリカで精米処理がなされ、白米の状態で日本に入り、神明の自社による
パッケージングを行なった後、イオンの店舗に搬送・販売がなされるといった
仕組み・形態のようです。
通常は玄米状態で輸入、パッケージングの直前に精米処理を行った方が鮮度を
保ちやすいかと思いますが、神明経由の かろやか がすでに現地で精米処理が
なされているのは、その後の手間やコストが削減できるといった利点のためかと
思われます。ただ、一般的に商社が大量に海外産のお米を輸入する場合は、玄米で
輸入し日本国内で精米処理を行うケースが多いようです。
国内での精米を請け負う業者さんは、例えば双日食料、兼松食品、伊藤忠食品などは、
輸入・保管・精米・包装といった一連の作業を一貫、MA米や業務用米の取り扱いにも
精通されています。
他にも輸送コストを抑えるため、近隣県の精米工場で分散・
精米処理されるケースもあります。
お米は外国産か日本国産かにより規格調整、精米設備の設定に違いがあるため
(割れ米の歩留まり・粒厚の違いなど)、精米を海外で済ませるか国内で行うか
別れる事情にもなっていそうです。
かろやかのテーマとは変わりますが、例えば5月末から6月初旬にかけて
放出された随意契約による備蓄米は、大手の小売業者としてイオンやアイリスオーヤマと
いった業者さんが入手、販売をされていますが、アイリスさんでは自社精米・包装設備ライン
を所有されているので(宮城県角田市)備蓄米の精米・包装といった業務も自社一括で
成される仕組みかと思います。
イオンでは大規模な精米専業工場を直接保有はされていない様ですので
イオンや西友、ライフといった会社ではこれらの業務は主に委託されている
のではないでしょうか。
精米は米の品質を保持しつつ白米へと仕上げる過程ですが、国内では山形屋、関谷精米、
サカエ産業、北川精米といった業者さんが主な精米業務を担われています。
包装業務では仕上がった白米の衛生管理を徹底、袋詰め、ラベル貼り、パッケージデザイン
の印刷、印字などを行いますが、これらは西日本包装、川本包装、フジパックといった業者
さんが広く包装業務を行われています。
アメリカ産のお米 かろやか(カルローズ )について記述しました。
古古米、古古古米といった備蓄米が2000円台のお米として出回り、
カリフォルニア米も市場で見かける様になってきました。
このカリフォルニア米 カルローズ は、実際に私もよく食べましたので私的な感想を
述べますと、国産米と比較しても違和感なく食せるというのが実感です。料理、調理に
よっては国産米よりこちらの方が適している料理もあるかと感じます。ですので、あまり
に些細な食味まで気にしなければ購入の際に大きな決め手になるのはやはり値段になるか
と思います。
国産の銘柄米の値段が落ち着かず、高値のまま留まり続けるとアメリカ産のお米も
今後国内で台頭してくるかもしれません。
国産、外国産、消費者が選択できるのはありがたい状況と言えますが、日本国内の
食料自給率が厳しい状況にあることはきちんと認識しておきたい。国産の銘柄米は
ルートによっては五次問屋まで介在するといった報道もありました。
農政には国産の銘柄米の価格安定を実現してもらいたいところです。