お米の流通 仕組みやその形態
日本国内のお米の生産から流通 消費までの仕組み
お米の価格高騰や品薄状態が起こり、一般的な銘柄のお米が購入しづらい
状態になり備蓄米の放出がなされましたが、銘柄米の価格の落ち着きはまだ不透明です。
日本国内のお米の生産や流通の仕組みはどうなっているのかを観てみます。
国内においてお米は一般的には生産・集荷・流通・消費 といった流れで市場に
届けられます。
1 生産 (農家・生産者)
日本の米作農家は、個人農家と法人化した農業経営体に大きく別れます。
個人農家は小規模経営が多く、地域の農協と協力して販売を行い、大規模な法人
(会社組織化した農業生産法人)は直接取引(外食産業、スーパー、輸出)を行う
ケースも増加しています。
農家は毎年5~6月ごろに田植えを行い、9~10月頃に稲刈りを実施。収穫後、
乾燥・籾摺りを行いお米として出荷できる状態に仕上げます。
2 集荷・流通の仕組み
お米が市場に流れる仕組みは、大きく3つのルートがあります。
① JA(農協)ルート (集荷業者から米の卸売業者)
・ 農家は収穫したお米を集荷業者や農協に出荷。
・ 農協は「カントリーエレベーター」と呼ばれる施設でコメの品質検査・
乾燥・貯蔵を行う。
・ その後農協が全農(全国農業協同組合連合会)を通じて米卸業社に販売。
※この仕組み・ルートでは安定供給が可能で多くの農家が利用し、市場価格の影響を
受けにくいとされています。
② 直販ルート (農家から消費者・外食・企業)
・ 農家が自家販売(ネット販売、ふるさと納税、直売所)を行うケース。
・ 一部の農家は飲食店・食品メーカーと直接契約し業務用米として納入する。
※ この形態は中間マージンが少なく、農家が高収益を得やすいが販売努力が必要とされる。
③ 商社・米卸独自ルート
・ 商社や大手米卸業者が契約農家や海外(輸入米)から米を仕入れ、大量に供給。
・ 外食チェーン(吉野家・すき家など)や、大手スーパー向けに流通。
※ この仕組みは大規模取引向け。
3 精米・販売について
お米は精米され、小売業者や食品メーカーへ流通します。
・ スーパー、小売店(消費者向け)用に小分け(2kg・5kg・10kgなど)包装されて販売。
・ 業務用、加工用として飲食店(寿司店・お弁当屋・レストラン)や食品メーカー向けに供給。
・ 農家の直接販売が増加し、ECサイトやSNSを活用するケースも多いとされます。
4 消費
消費者はスーパー・通販・直売所などで購入し、各家庭で炊飯、消費されていきます。
以上をまとめますと、一般的なお米の流通・仕組みは、
農家 → JA・米集荷業者 → 小売り・外食産業 → 消費者
といった流れが主流になっているようです。

5次問屋まで存在? 集荷業者や卸売業者の形態は
お米の価格高騰の原因はどこにあるのか、最大は5次問屋まで存在すると
いわれる卸売業者の仕組みや、集荷業者と卸売業者の業務は違うのか?などを
もう少し観てみます。
集荷業者とは、生産者(農家)からお米を買い集めることが主な業務となる業者で、
その名の通り「集めて荷にする」ことが仕事で、流通の最初の段階を担います。
主には農家から玄米を買い取り、品質や等級を検査、必要に応じ保管、乾燥、
調整を行い、その後、卸売業者や小売業者、あるいはJAや政府などに販売するのが
主な業務です。
このような集荷業務は規模の大きさや組織力からJA農協が担っていることが
多いようですが、大きな米所・産地の地元では、農協とは別に民間の大きな集荷
業者も存在するようです。
(農協は「カントリーエレベーター」と呼ばれる施設で米の品質検査・乾燥・貯蔵を
行い、その後、全農を通じて米卸売業者に販売するのが主な仕組みのようです)
次に卸売業者とは、集荷業者や農協からお米を仕入れ、そのお米を量販店・小売店、
飲食店などに販売する業者です。流通の中間段階で、大量のお米を扱い次の消費段階
へと供給します。
集荷業者や産地業者から仕入れた後、顧客であるスーパーや外食産業、加工業者などへ
販売、必要に応じて精米やパッケージング、価格調整・在庫調整、物流手配を行います。
一部には輸入米を取り扱う業者さんもいます。
再度流通の仕組みを簡単に示すと、
農家(生産者)→ 集荷業者・JAなど→ 卸売業者→ 小売店・外食・加工業者→ 消費者
のようなイメージですが、現在では集荷業者が卸売業務も行う、或いは逆の形態も見られます。
例えば大手米卸売業者が産地に出向いて直接農家から買い付け(集荷)を
行うケースや、JA農協も集荷と卸売の両方を一体で担う場合もあります。
米の流通は複雑で、最大五次問屋まで存在する場合もあり、中間コストに加えて
マージンがそれぞれ発生する、といった報道もありました。
ディスカウント店の「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インター
ナショナルホールディングス(PPIH)さんの食品部門責任者の方が、あるメディアの
取材に応じて出されたコメントでは、「精米や袋詰めの作業を終えて商品化された状態
で米を仕入れており、取引した卸売業者が五次問屋だった事もある」との事から、お米の
流通の仕組みや形態は一般的なスタイルは決まっていても、個別に詳細を観ると複数業者
が介在している場合もあり、これも米の価格が高騰化している要因の一つだと感じます。
PPIHでは先月下旬、小泉進次郎農相宛に米流通問題に関する意見書を提出し、
その書中で集荷業者であるJAグループとの直接取引の参入障壁が高い点や、多数の
卸売業者が介入する流通経路が米の価格高騰や供給不足を招いていると指摘しています。
小泉農相が随意契約による備蓄米の放出を行ってから、店頭に格安で迅速に
備蓄米が並びました。
これは緊急というか一時的な措置によるもので、今後はアメリカ産のカリフォルニア米が
比較的購入しやすい値段で店頭に並ぶ状況も予測されます。
日本の農政は国内の米不足の解消が不透明にも関わらず、今後2030年を目処に
米の輸出量を現在の約8倍に倍増する計画を掲げています。一部の報道では輸出用米
一俵あたり約5000円の補助金が付与される、ともいわれていますが、まず国内の
自給率を整えるのが先決です。
減反政策の失政を見据え、日本の食料自給率を回復させるべきではないでしょうか。