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日本の食料自給率が低い理由

日本の食料自給率が年々低くなり、1965年には73%であった自給率が2020年には37%に
まで落ち込んだことで、日本の食料自給率が問題視される記事も見られます。

現状ではまだ食材も入手できますし、お米が店頭に置かれていない、キャベツの値段が高騰、などの
ニュースが流れても、お米も入手でき、食材の購入に特別な苦労が伴っているわけでも無いので、
まだ現状において、食べるものが無い、という恐ろしい状態はなかなか実感できていない環境にあるか
と思いますが、実際にはやはり日本の食料自給率問題は切実で、食料問題を避ける対策と指針は
あらかじめ意識しておくべきと感じます。

この問題に警鐘を出されているのは東京大学教授の鈴木宣弘氏です。
氏の専門は農業経済学、著書には「世界で最初に飢えるのは日本―食の安全保障をどう守るか」という
怖いタイトルのご著書もおありです。

鈴木教授の手記などからも、やはり日本の食料自給率の現状は危ういことがわかります。
なかには、日本の食料危機問題は煽りであり、噓偽である、との意見も見られますが、これは日本が
近年でも世界10位の農業生産額を保っている事からの意見かもしれません。

しかしその一方で、日本は金額において世界一の農産物輸入国でもあるのです。

日本はかつては諸外国の動向をしっかりと観察しながらも、鎖国政策をとり、食料自給率も
エネルギーも自国で循環させるという形態を取っていたはずです。

それが先の大戦以降、それまでの食生活が大きく変化し、小麦を使ったパン食や脱脂粉乳が
もたらされました。戦後生まれ世代の方々でも学校給食でこうした食事を取っていたことから、
食生活にパンや牛乳が広く浸透していたことはよく実感できるはずです。

こうした食生活の大きな変化は、私たち日本人が自主的に変化をさせたわけではなく、
実は米国の意図的な思惑、誘導があったとされています。終戦直後、自給率の低い食品に
至ったのは、日本では小麦、大豆、トウモロコシなどで、国内生産が追いやられ、現状では
これら3品の輸入依存度はいずれも80%以上、トウモロコシは数字上100%輸入といった
状態にあります。

主な輸入相手国はもちろん米国になっています。




他のページでも述べましたが、小麦を使用したパン食の普及には米国の西部小麦連合会会長であった
人物が資金供与して日本国内の大手製パン業界の育成に尽力し、他に文部省の「全国学校給食連合会」
にも資金供与していた事実があります。

米国産小麦使用のパン食化だけでなく、食生活の肉食化にも誘導があった様で、
これには米国の飼料穀物協会が日本にも協会を発足させ、国内の畜産農家への技術支援を
展開し、エサ穀物としてのトウモロコシや大豆の需要を喚起したとされています。
牛肉や豚肉の需要増加を狙ったのでしょう。

日本国内の食料自給率が低い理由には、米国の狙いや誘導があった事が感じられます。

日本の食生活が短期間のうちに大きく変化したわけですが、鹿児島国際大学教授の西原誠司氏が
こうした食内容の西洋化の詳しい経緯を「穀物メジャーの蓄積戦略と米国の食糧戦略」という
論文に詳しく記されているようです。

すでに西洋化というか、パン食や肉食が広く浸透した現状の食生活から今後どのような変化が
起こるか判りませんが、食料自給率が低い理由を認識し今後の対策方針を考えるべきだと思います。

今後は遺伝子組み換え食品やゲノム編集食品と呼ばれる食品が店頭に並び始めるかも
しれません。すでに遺伝子組み換え食材を使用した加工食品は店頭で販売されています。
これらの食品は表示法の曖昧さなどにより見分けが難しくなっているものもあり、気付かずに
購入している食品もあるでしょう。米国産のトウモロコシ、大豆などは大部分が遺伝子組み換え
だとされます。

それらの素材を利用して作られた加工食品は間接的な遺伝子組み換え食品になります。

そして最近ではゲノム編集食品トマトが開発され、社会にも出回り始めました。

ゲノム編集食品はしっかりとした安全性の確立もされておらず、表示義務も定まっていません。

販売の際には購入者・消費者にわかるよう告知するように、という条文はあるようですが、
表示義務は定められていないので販売コーナーに「ゲノム編集トマト」などの札が立てられる
程度でしょう。

従来のトマトに紛れてしまうと判別がつかないと思いますが、安全面で不安が残るので
従来品にしよう、など、購入の際選択はできます。

しかし、このゲノム編集トマトを学校給食で提供しよう、という計画があるようで、こうなれば
児童達は選択の余地がなく、拒否することができません。これは戦後の日本が米国産の小麦を使った
パン食を給食に出され摂取してきた状況と同じで、今度はゲノム編集食品の安全性確認のために日本の
子供達が危機にさらされている、と前述の鈴木教授が警鐘を出されています。

ゲノム編集食品の利益はそのうちの幾らかが米国のグローバル種子農薬企業に特許料として入る
構造にもなっていて、これは戦後日本の給食事情が米国産小麦のパン食を採用させられ、その利益が
米国の巨大穀物商社に入ったのと同じ構造になっているようです。

日本の食料自給率が低い理由にはこうした外部からの誘導や戦略があり、戦後ある程度の時間が
経過した今、その結果が現れ始め、食料問題を克服する対策を意識すべき時なのだと感じます。

地産地消の有機農業による対策や国産回帰


食料自給率の低い理由などを観てきましたが、では食料自給率を
上げるにはどのような対策が有効でしょうか。

ここでは安田節子氏の書籍に書かれている事例を紹介して観ます。

安田氏は食政策センター・ビジョン21代表、NP法人「日本有機農業研究会」理事、
「日本の種子を守る会」 常任理事などをお務めになられています。

氏の書籍から、1985年、当時の文科省は「学校給食業務の運営の合理化」を求める
通達により、安上がりの給食へと転換し、センター方式、パートタイム化、民間委託を
推進してきたようで、この事により、食材の一括購入、調理器具に合わせた食材の大きさの統一、
食材の安定的な確保という条件が求められる事から、給食食材は全国市場に委ねられ、この事が
地産地消、地場産給食への転換を困難にしていたようですが、有機農業による地域作りに連動し、
地場産の食材を提供する有機学校給食の形態が成功している地域も出てきているようです。

有機農業とは農薬不要の農業で、現在は世界中でこの農法が拡大を目指しているとされます。

先駆的な事例として、福島県のある町では、親御さん達が子供に安全安心なお米を提供したい
との想いから、小学校給食では地元で栽培されたお米が提供され、1979年から週5回の
米飯給食が導入されていたそうです。

しかし、1976年以降、給食のお米は政府米の利用が義務付けられていた為、地元米は
使用できない状態でしたが、町の教育委員会は地元米にこだわり、政府米と地元米の差額を町が
負担する事を条件に6ヶ月の特例が認められていたようです。

そうした試みも1991年12月からは政府米の利用になり、地元米は使用できなくなりました。

そこで町のPTAが総会を開き、保護者の負担がかさんでも子供達に地元産のお米を食べさせたい、
補助金がなくとも地元米を継続する、事を町、農協、保護者が合意、米飯代の増加はそれぞれが
負担しあう事で地元米を維持したのです。

この町の学校給食には地元産の農産物が全部で100種以上も提供されているようです。

菜種油、ごま油、卵が地元の平飼い(平飼いとは鶏が自由に動ける環境)、ハムやソーセージが、
安全な飼料で育成された豚肉を添加物を使用しないで生産する食肉工場から購入、安心できる食品が
選択されているという点では、相当にレベルが高いことを感じます。

もう少し他の地域での取り組み例を見て観ます。

千葉県のいすみ市では、役所が事務局となり、市民団体、農協、商工会、観光協会、NPOなどの
団体が参加し、有機米生産を農家に働きかけましたが、当初有機農家はゼロだった為、有機稲作の
技術がなく、有機稲作技術を確立する為、民間稲作研究所の稲葉光圀氏を招き、その指導の元、
数年後には生産者23人、約50トンの収穫を得、約42トンを賄う有機米の学校給食が実現。

愛媛県今治市の場合、学校給食において遺伝子組み換え食品不使用を掲げ、今治市産の米、麦、
大豆などの農産物を優先的に使用するようになっています。今治市産大豆の豆腐を給食に使用、
輸入大豆との価格差は市から補填されています。2001年からはパン用の小麦栽培にも取り組み、
約60トンを生産、2012年度の時点で学校給食で使用される野菜や果物の約6割が今治市産に
なったようです。

そして都心の東京武蔵野市でも約40年前という結構以前の時期から保護者の求めで始まった
安全給食の試みは、現在全市で実施されているようです。食材に低農薬、無農薬、有機肥料栽培の米と
野菜、非GMの飼料で育てた鶏卵、有機国産丸大豆の味噌など。

2010年には武蔵野市の給食事業は、市が100%出資の財団(武蔵野市給食・食育推進財団)
になっています。







日本の食料自給率が低い理由、自給率を上げるには?その対策などを観てきました。

外部からの食料戦略により、国内の小麦、大豆、トウモロコシなどが自給率の低い食品へ
と追いやられ、そうした農産物を海外からの輸入に頼るような状況に至ったこと、戦後ある
程度の時間が経過し、輸入依存の姿勢が危機化し始め、新たにゲノム編集食品台頭の危機が
起きてきて、消費者はこれらの問題をきちんと認識しておく時です。

米国の大豆、トウモロコシはほとんどが遺伝子組み換え、小麦は遺伝子組み換えはまだ
なされていませんが、かなりの品種改良を重ねてかつての小麦からは品質が変化し、何より注視して
おくべきは残留農薬のグリホサート 成分です。
米国はこの成分に関して非常に大きな訴訟問題を抱えています。
そして畜産の飼料となる餌にGM食品が利用されていたり、消費者は間接的にもGM食品を
摂取している危険にもさらされています。

一方で、各地に上記で述べたような地産地消に取り組む動きも見られ、質の高い安心な
食品の提供のため保護者、行政、農協、学校などが協同する体制が見られたりもします。
こうした素晴らしい取り組みが今後もっと広く浸透してほしい。農業従事者でない消費者、
購入者もこうした食品事情や経緯を認識していれば、食料問題を避ける力になるはずです。

知らないという状態が危険な状態を招いてしまいます。

地産地消、国産回帰で食料自給率を上げていきましょう。






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