日本の食料自給率が低い理由や食糧問題の原因・現状
主食が米から米国産小麦のパン食へ
当サイトでは、食品に含まれている添加物や、その危険性や実態について書き綴っています。
ここ最近では、日本の食料自給率や食料危機問題に関する記事がよく観られるので、
その点について紹介してみます。
日本の食料自給率が低くなり、食料危機問題がすでに始まっている、と警告されて
いるのは東京大学教授の鈴木宣弘氏です。

日本は島国で、かつては鎖国政策などでごく小さな限られた交流しか行っていなかった
事により、食料自給率やエネルギー自給率も国内でほぼ完結した循環型であったでしょう。
それが先の大戦以後、アメリカが日本人の食生活を改変すべく、お米主食の食生活から
アメリカ産小麦のパン食に切り替えるよう、意図的な誘導があったと言われます。
さる大学教授の方が、1958年に「コメを食うとバカになる」といった内容の書籍を
発刊し、これは大ベストセラーになったようです。
さらに、昭和31年から、キッチンカーなる栄養指導車が日本国内を走り、学校給食に
パンと牛乳が導入され、主食がお米からパン食へ誘導されていった経緯があるようです。
日本人の食生活内容が急激に変化したのですが、鈴木氏は、これほど短期間に伝統的な
食文化を一変させてしまった民族は世界的にもほとんど例が無いと言及されています。
このキッチンカーは国民の栄養水準を高める為に日本政府が実施した、とされて
いましたが、実際にはアメリカの西部小麦連合会会長のリチャード・バウム氏が資金を
投入して手掛けた事業であったことが明らかになっています。
上記の経緯から、日本の食料自給率が低い理由は、単に日本が食料の確保を輸入に頼った、
と言うだけでなく、アメリカが米国産の小麦を使用したパン食を広く普及させる為の誘導が
あった事が伺えます。
2021年度の日本の輸入農産物・相手国の1位は米国、次いで中国となっています。
小麦が約45%、牛肉約42%、豚肉約27%、大豆やトウモロコシに至っては70%以上を
アメリカから輸入しています。
日本の食料自給率は相当な外国依存ですが、1965年の自給率は73%、2020年には
37%にまで落ち込んでいます。
近年、コロナショックが起き、そしてさらにウクライナ紛争が起こりました。
ロシアとウクライナは世界の小麦輸出の3割を占めており、経済制裁を受けたロシアが
その報復に小麦の輸出を渋り、ウクライナも封鎖や農地の荒廃などの事情もあり、小麦の出荷が
できない、そんなことから各国の需要がアメリカに集中してきて、小麦の大部分をアメリカに
依存している日本がその争奪戦になかなか勝てなくなっている現状も起きているようです。
小麦の大生産国のインドも自国民の食糧事情を守るため、防衛的な輸出規制を敷いた事で、
日本の食糧危機問題、食料自給率の低さは切実さを増してきています。
ちなみに中国の食料自給率は2000年に93.6%あったところが、2020年には
65.8%にまで低下し、大豆の自給率は17%、野菜の種は90%以上を輸入に頼っている
状況とされます。
習近平国家主席は、食糧安全保障として種を重視し、食料自給率を上げ、食が国際情勢に
左右されないような国づくりを目指すとして、2022年の4月には、海南省三亜市の
種子工場を視察に訪れています。
化学肥料の不足・港の大型船への不整備
食糧危機自体も問題ですが、その食糧を育てる農地の化学肥料の原料不足も問題視されています。
化学肥料のリンやカリは、ほとんどが輸入に頼っている状態で、ほぼ100%に近い。
相手国はロシアとベラルーシですが、その両国と調整がうまくつかず、日本の農家に
化学肥料の供給が成されなくなってきている。そして肥料の値上がり。
貨物の輸送船も巨大化してきて、この巨大なコンテナ船は中国の港には着岸できるのですが、
日本の港は不整備で大型船が着岸できない。その為中国の港に行き、小分けにしてから
日本に運んでくる、そのせいで割高な料金がかかっている、そんな事態にもなっているようです。
食品添加物の成分表示・記載の現状 農薬イマザリルや加工助剤の臭素酸カリウム
日本の食糧自給率の低さは、アメリカの思惑や誘導もあったのでしょうが、
「他国からの輸入で賄えれば良い」といった安易な外国依存を選択してきた事にも
理由・原因があるのではないでしょうか。
食料自給率が低い現状にも関わらず関東圏では、酪農家さんたちに「乳牛一頭殺処分
すれば手当を出します。」などの通知も出回ったようです。もちろん、それに反して危機感を
持ち、食料自給率の向上や取り組みも議論されていますが、食品・食糧問題に対する指針にも
疑問を感じる部分があります。
それは食品成分の表示や記載に関してのことです。
日本の食料自給率が低いことで、食べるものが無くなるという事態も怖いことですが、
私たちが普段摂取している食品・食材が安心して食べられる物かどうかも気を付けたい
点になります。
安心して購入できるかどうかの見極めには、まずは商品のラベルに表示してある
成分表示を確認する事ですが、それら食品添加物の記載が消費者庁のガイドラインにより、
見極め難くなっています。
例えば、日本は収穫後の農産物に農薬を散布することは禁止しているため、外国産で、
収穫後に農薬を散布された農産物を輸入する事ができませんでしたが、諸外国との外交の
ためか、農薬を食品添加物認定に変更し、これらの農産物を輸入できるよう取計らいました。
添加物認定としたことで、商品のパッケージに成分表示・記載の必要性が生じ、
これら変更された成分が使用されている商品には現状、「防カビ剤・イマザリル使用」
などの表示・記載がなされています。
しかし、これらの表示が消費者に「危険な農産物である」とのイメージを与えるので、
表示しないように、との要請が原産国から出ているらしく、今後表示が取り消される
可能性があります。
取り消しとなれば、消費者にとっては含有成分を把握する事ができず、
見極めができません。
他のページでも紹介していますが、これら収穫後に散布された農薬(あえてこう
表現します)は、洗っても落ちにくく、何%かは残留することが指摘されています。
イマザリルの他、プロピコナゾールなどがこの類の成分とされています。
消費者としては、購入する商品にどのような成分が使われているかはきちんと
把握しておきたい、その上で購入を決めたいところですが、成分表示・記載の
ガイドラインはますます消費者にとっては実態を把握しにくい状態へと進んでいる
ようです。
消費者庁から出されている食品添加物の表示ガイドラインの内容を見ると、例えば、
単純に「無添加」と表示すること、健康や安全に効果・関連がある事を主張する
表示などを控えるように、との趣旨が書かれています。食品によく見られる「保存料不使用
なのでお早めにお召し上がりください」との表示すらNGに該当するとの事なので、
消費者側からすると今後かなり食品の成分や実態を見極めるのが難しくなる事態が
予測されます。
加工助剤として使用されている成分の表示もNGになるようです。
これは例を挙げると、大手製造メーカーのヤマザキパンさんが、自社製品に
臭素酸カリウムを加えた商品を製造・販売されていますが、この臭素酸カリウムは
「加工助剤」と分類されていますので、使用されていても商品の添加物表示には記載は
されていません。
ただ、ヤマザキパンは臭素酸カリウムを利用した商品は自社のサイトにて告知はされており、
且つ、臭素酸カリウムに関する科学的根拠・情報を掲載されてはいます。
しかし、ガイドラインによって「加工助剤の成分表示・記載禁止」となれば、
ヤマザキパンさんは自社サイトでの掲載すら削除するに至るかもしれません。
もちろん、今後の掲載の有無についてはわかりませんが、もし削除ということに
なればその商品が臭素酸カリウムを使用したかどうか、ということは消費者には
把握できない事態になってしまいます。
この臭素酸カリウムは発がん性あり、との事で多くの国内製パンメーカーが利用する事を
控えている成分です。国内メーカーだけでなく、国際的にもこの成分をパンの製造過程で
利用することは禁止している国が多々あります。
この他にも注意すべき表示の仕方がガイドラインには表記されていて、食品購入の際、
安全性の見極めが困難になってきている事を感じます。
GMO食品やゲノム編集食品表示の安全性や表示義務について
さらに、近年出回り始めた食品に、GMO(遺伝子組み換え)食品や、ゲノム編集食品があります。
あまり普段は意識されていないかもしれませんが、食品の成分表示欄に(遺伝子組み換えでない)
などの表示がされているのをあなたも目にした事があるかと思います。
消費者を意識して、メーカー側も 「GMO(遺伝子組み換え)食品でない」 事を
告知しているのでしょうが、この「GMO食品不使用」の表示が、令和5年4月1日から
厳格化され、「GMO食品不使用(遺伝子組み換えでない)」を表示できるのは、
GM食品混入率0%でなければ表示はできなくなりました。
それまでは、5%未満の混入率であれば「不使用」を表示できていたのですが、
これは、米国からの輸入作物に頼る面が大きい日本では、5%未満のGMの混入率は
避けられない、との認識があったからのようです。
より厳格化されたことは結構にも思えますが、この厳格化により、「GMO食品不使用」
の表示ができなくなり、商品の価格高騰を避けるため、止むを得ずGMO作物を利用する
メーカーが増えるのではないか、との懸念があります。
GMO食品やゲノム編集食品はここ近年に台頭してきた食品であり、安全性の確認・確立はまだ
しっかりとなされていないのが現状です。それゆえか、これらの食品はEUや他の多くの国々が
使用を見合わせている食品です。
これに対し、日本のGM食品認可数は世界でもトップだとされている現状です。
日本で使用が認められているGMO(遺伝子組み換え)作物
トウモロコシ
大豆
ナタネワタ
テンサイ
ジャガイモ
アルファルファ
パパイヤ
上記が日本で認可されているGMO(遺伝子組み換え)作物ですが、日本ではGMによる
栽培は行われていないため、国産の作物を100%使用しているなら「GM不使用」との表示が
可能になります。
米国では、トウモロコシや大豆は総生産量の約90%以上がGM(遺伝子組み換え)食品と
なっており、従来型のトウモロコシや大豆はわずか数%という現状のようです。
もうほとんどがGMO大豆、トウモロコシといった状態でしょう。
EUの現状を観てみますと、米国に比べてGMO作物の栽培は規制が厳しく、
欧州委員会の承認が必要とされ、現時点ではトウモロコシのみが栽培を許可されている
ようですが、フランス、ドイツ、オーストリアなどはこのトウモロコシの栽培すら禁止とされ、
スペイン、ポルトガルで一部商業栽培が行われているのが現状のようです。
ただ、GMO食品や飼料の輸入は許可されており、アメリカやブラジルからGMO大豆や
トウモロコシを輸入しているようです。もちろん、それらを使用した商品には告知のラベル表示
が義務付けられています。
日本の食料自給率が低い問題や、食品の安全性や添加物表示の義務、現状などを観てきました。
こうしてみると、農薬やGM食品問題では、米国やEUとの間で認識の違いが有る事を感じます。
米国は農薬のグリホサート 問題やGM食品、食品添加物に関しては使用量、許容範囲を守れば
問題なし、との姿勢のように思えます。一方でEUの諸国はこれらのGM食品に対しては厳しい
規制を敷いている事がわかります。
日本はどうしても米国に指針を合わせがちな傾向があると感じますが、以下の点は消費者側が
しっかりと認識、注意しておくべきかと思います。
近年台頭してきたGM食品とともに、ゲノム編集食品があります。
このゲノム編集食品はまだ安全性の確認、確立がなされておらず、表示も義務化されていません。
このゲノム編集技術を使って2021年に「シシリアンルージュ・ハイギャバトマト」といった
トマトが日本でゲノム食品として承認されました。このゲノムトマトを広く認知させる試みか、
販売会社が無償にて約4000件の配布を行った事が確認されています。
その後の2022年、2023年には障害福祉施設、小学校にも配布する計画がなされていたようで、
(この計画が実際に行われたかは外部公表されていないようです)これは子供をゲノム編集食品の
実験台に利用していると、識者や消費者団体から非難の声明が出されています。
このゲノム食品が販売された際の利益はもちろん販売会社に入るわけですが、さらに辿ると、米国の
グローバル種子農薬企業に特許料が入る構造になっているようです。
消費者側はこのような流れの形態も理解し、食品の安全性に充分注意したいものです。
そして、日本の食料自給率が低い問題も意識し、短期間に日本人の食生活が変化してしまった
事には外部からの意図的な思惑もあった事、食料自給率を上げるには国産回帰も意識したいところです。