食品添加物と安心な食品の選び方

食品の安全性について考えるサイトです





グルテンとは グルテンフリーとは


朝食にパンやシリアルを選択している方も多いでしょう。
食品コーナーには、ラベルにグルテンフリー、などと表記されている商品もみかけます。
ここでは、グルテンとは? グルテンフリーとは?について書いてみます。


グルテンとは小麦や大麦、ライ麦に含まれるタンパク質の一種のことです。
もう少し詳しくは、これら穀物の胚乳から生成されるタンパク質の一種であるグルテニンと
グリアジンが水を吸収して網目状に繋がったもので、料理では小麦粉に水を加えてこねる事で
これら2つのタンパク質が絡め合わされてグルテンが作られます。

グルテンフリーとは、このグルテンを含まない食品や、グルテンを含む食品を
摂取しない食事法のことをいいます。 私たちの食生活の中でグルテンを含む
よく知られた食品を以下に挙げてみます。



1. パン類

  • 食パン、フランスパン、クロワッサンなど
  • 小麦粉を使ったすべてのパン類にはグルテンが含まれています。


2. パスタ類

  • スパゲッティ、マカロニ、ラザニアなどの一般的なパスタ
  • 小麦粉が主成分のため、すべての通常のパスタはグルテンを含みます。


3. ピザ

  • ピザの生地には小麦粉が使用されているため、グルテンが含まれています。


4. ケーキやクッキー、ペストリー類

 ケーキ、クッキー、ドーナツ、パイなどの焼き菓子には、小麦粉が使われています。


5. ビール

  • 大麦が使用されているビールにはグルテンが含まれます。近年はグルテンフリービールも
    ありますが、通常のビールには含まれています。


6. シリアル類

  • 多くのシリアル(コーンフレークなど)には、小麦や大麦が含まれており、
    グルテンが含まれている場合があります。


7. 麺類

  • うどん、そば(十割そば以外の小麦が混ざっているもの)、ラーメンなどの日本の麺類にも
    グルテンが含まれています。
  • 特に「中華麺」は小麦粉が主成分です。


8. クラッカーやスナック菓子

  • クラッカーやいくつかのスナック菓子にも小麦粉が使われている場合が多く、
    グルテンが含まれています。


9. ソースやドレッシング類

  • 一部のソースやドレッシングには、小麦粉や大麦エキスなどがとろみや風味を
    付けるために使われていることがあります。
  • 例:醤油、いくつかのグレイビーソースやシチューの素。


10. お好み焼きやたこ焼き

  • お好み焼き、たこ焼きには小麦粉が使われているため、グルテンが含まれます。


上記の品々ですが、皆が大好き、というか、私たちにお馴染みの食べ物ばかりです。

私たちの普段の食生活でよく知られた食べ物、パンや麺類、シリアルに含まれる小麦粉、
グルテンがなぜ健康上問題視されているかというと、この小麦製品、グルテンを含む食品に
対して過敏に反応を示す、「グルテン過敏症」と呼ばれる症状を持った方々がいるからです。

グルテン過敏症とは


免疫学者の藤田紘一郎先生のご解説では、このグルテンは消化されるとアミノ酸という細かい
分子になり、腸壁の絨毛から吸収されてゆきます。しかし、一部のタンパク質はアミノ酸まで
分解されず、その手前のグルテンペプチドという大きな分子の段階にとどまります。通常はグルテン
ペプチドは小腸を通り越して便中に排泄されます。ところが、グルテン過敏症の方々はこの
状態に過敏に反応し、その結果、胃痛、胃けいれん、下痢、便秘などの症状を起こすといわれます。

近年の小麦は大きな品種改良が行われ、過去の小麦に比べると大幅にグルテンの含有量が
増量していることも症状を悪化させていると思われます。

過敏症には以下のような症状があります。



セリアック病(グルテン過敏性腸症):グルテンを摂取すると免疫反応が引き起こされ、
腸にダメージを与える病気です。この病気の患者は、厳密にグルテンを避ける必要があります。


グルテン不耐症やグルテン過敏症:セリアック病とは異なりますが、グルテンを
摂取することで消化不良や腹痛、頭痛などの症状が現れる場合があります。


小麦アレルギー: 小麦アレルギーは、免疫系が小麦に含まれるタンパク質(グルテンを含む)に
対してアレルギー反応を起こす状態です。これはグルテンそのものに対する反応ではなく、
小麦全般に対する反応です。症状は軽度のアレルギー反応から、重度のアナフィラキシー
ショックまで多岐にわたります。 
  

腸内環境への影響: グルテンは、腸の健康に影響を与える可能性があります。
特にセリアック病の人やグルテン過敏症の人では、グルテンが腸の粘膜を損傷し、
腸壁の透過性が増す「リーキーガット症候群」と呼ばれる状態になることがあります。
これは、腸のバリア機能が弱まり、有害な物質が血流に入り込むことで炎症を
引き起こすと考えられています。



上記のように、小麦粉やグルテン成分が人体や健康に必ずしも悪影響を与えるわけでは
ありませんが、なかには小麦アレルギーや過敏症を持つ方々がいて、こうした方々は小麦粉や
グルテン成分を含む食品を避けるグルテンフリーを行うことで健康体を維持、また、現在不調に
ある方は体調を回復する事ができるかと思います。

著名なスポーツ選手、アスリートの人達でグルテンフリーを実践することで健康維持や
パフォーマンスの向上を成し遂げた選手たちの例を挙げてみます。



1. ノバク・ジョコビッチ(テニス選手)

世界的に有名なテニス選手であるノバク・ジョコビッチ選手は、グルテンフリーの食事を
取り入れてから大きくパフォーマンスが向上したことで知られています。彼は、2010年頃に
疲労感や集中力の低下などに悩まされていた際、栄養士のアドバイスを受けてグルテン不耐症で
あることが判明しました。

  • 食事の見直し:ジョコビッチ氏は、小麦やパン、パスタなどを除外し、代わりに米、
    トウモロコシ、キヌア、そばなどのグルテンを含まない食品を取り入れるようにしました。
    また、野菜、フルーツ、ナッツ、魚、肉などの自然食品を積極的に摂取しています。
  • 成果:グルテンを除去してから、彼は体力とスタミナが大幅に向上し、集中力や
    メンタルの安定感が高まったと語っています。これが、彼のキャリアの中での飛躍に
    大きく貢献したとされています。彼は自伝『Serve to Win』の中で、グルテンフリーの
    食生活がいかに自身の成功に役立ったかを詳しく述べています。

2. トム・ブレイディ(アメリカンフットボール選手)

NFLのスーパースタートム・ブレイディ選手も、グルテンフリーを含む特別な食事法を
実践しています。彼の食事は、主に抗炎症効果を重視したもので、体を健康に保ち、
長年トップパフォーマンスを維持するために工夫されています。

  • ブレイディ氏の食事法:彼の食事は、80%が野菜やフルーツ、全粒穀物などで、
    残り20%が魚や無脂肪のタンパク質からなります。グルテンを含む食品は避けており、
    特に小麦や精製された穀物を控えています。また、白砂糖や加工食品も避ける
    「クリーンイーティング」を実践しています。
  • 影響:ブレイディ氏はこの食事法によって、長期間にわたり体の健康を保ち、
    NFLでの長寿命を実現したと述べています。彼は「TB12メソッド」という独自の
    食事法とトレーニング法を提唱しており、そこでもグルテンを避けることの重要性を
    強調しています。

3. ヴィーナス・ウィリアムズ(テニス選手)

ヴィーナス・ウィリアムズ選手は、自己免疫疾患の一つであるシェーグレン症候群を患っており、
健康とパフォーマンスを維持するためにグルテンフリーの食事を実践しています。

  • 食事の変更:診断後、ヴィーナス選手は医師の勧めにより、グルテンフリーかつ植物ベースの
    食事に切り替えました。グルテンを含む食品を避けることで、体の炎症を軽減し、エネルギー
    不足や倦怠感を克服する手助けをしています。
  • 成果:彼女は、この食事法によって症状を管理し、競技生活を続けることが
    できたと語っています。また、グルテンフリーの食生活はエネルギー回復に寄与し、
    試合への集中力も維持できるようになったと述べています。

4. ビクトリア・ベッカム(元サッカー選手デイヴィッド・ベッカムの妻)

ビクトリア・ベッカム氏は、モデルやデザイナーとしても知られていますが、彼女も
グルテンフリーの食事を実践しているセレブの一人です。ビクトリアは、健康と美容の
ためにグルテンフリーの食事を長年続けていることを公言しています。

  • 実践内容:彼女は、朝食にグルテンフリーのグラノーラやフルーツを食べたり、
    米粉やそば粉などを使った料理を積極的に摂取しています。また、精製された穀物を
    避け、体に優しい食品を選ぶよう心がけています。



5. サム・ワリントン(ラグビー選手)

イギリスのラグビープレーヤーであるサム・ワリントン選手も、
パフォーマンス向上のためにグルテンフリーの食事を取り入れました。

  • 実践内容:ワリントン氏は、グルテンフリーのパンやパスタを使用し、グルテンを含む
    食品を避けています。これにより、彼はエネルギーの安定供給を感じ、特に試合後の
    回復が早くなったと述べています。



これらのアスリートに共通しているのは、グルテンを除去することで体の炎症を抑え、
消化の改善やエネルギー効率の向上を目指している点です。グルテンフリー食は、特に
消化や健康問題に直面しているアスリートにとって有効であり、パフォーマンスを高め、
リカバリーを早める手助けとなっています。

小麦粉 グルテンが体に悪い理由は? エクソルフィン依存症

      
小麦アレルギーやグルテン過敏症の方々がいることをみてきました。

では、小麦アレルギーや過敏症ではない人たちにとって小麦粉が
体に悪い理由はないのでしょうか。

この点を考えてみると、特にアレルギー体質ではない方でも小麦粉には
注意すべき理由がみられます。

前述していますが、小麦粉のグルテンは分解されるとアミノ酸、そして一部は
グルテンペプチドになります。このグルテンペプチドが腸管から血中へ移行して血液脳関門を
通過して脳内に達すると、脳のオピオイド受容体という部分と結びつき、モルヒネ様物質の作用を
起こすとされています。モルヒネに似た作用ですから、痛みの緩和や、気分を高揚させたりする働き
があるのでしょう。グルテンペプチドは体外から入ってくるため「モルヒネ(morphine)」に
外部由来を意味する「exo」を付けてexorphin、エクソルフィンとの名称になっています。

この様にエクソルフィンは体外から摂取される特定の食品に含まれる物質で、脳内で
エンドルフィンと似た働きをするとされます。エンドルフィンとは、快感ホルモンとして知られ、
鎮痛や、気分を高揚させる働きがある神経伝達物質です。

小麦粉を使った食品や乳製品はこのエクソルフィンを含み、体内に摂取されると
エンドルフィンと同じく脳内でモルヒネ的な作用を起こす為か、依存症状が見られる様で、
これはエクソルフィン依存症とも呼ばれ、小麦粉、グルテンを含んだ食品を摂取していると、
さらにその食品を摂取したくなる依存症が形成されるとも考えられています。

日本ではお米が主食のため、エクソルフィン依存症はさほど広まっていないと
考えがちですが、戦後から近年の日本人の食生活は急激に変化してきており、小麦粉、
グルテン食品は最近の食生活の中に相当に見受けられます。

特に空腹でもないのに何かパンや麺類、スナック菓子などを欲してしまう場合は、
このエクソルフィン依存症に体質が傾いているかもしれません。免疫学者の藤田紘一郎先生は
小麦粉食品を2週間ほど断てば、体重が減り、体調の変化・効果を実感できると
ご解説されています。

小麦粉に含まれる残留農薬  グリホサート の危険性


そして、前述の過敏症やエクソルフィン依存症とは別に、小麦粉が体に悪い理由として
注視される点が、 残留農薬のグリホサート 成分を含んでいる事です。これは、消費者側が
しっかり把握しておかねばならない小麦粉の事情といえます。

現在、日本国内に流通している小麦はその約80%がアメリカ、カナダ、オーストラリアの
3国で生産された小麦で、残りの約20%はそれ以外の外国産と、国内で生産された国産小麦
になる様です。

この3国で生産される小麦は、収穫前にプレハーベストと言われる乾燥処理が行われます。

これは、収穫前の小麦に除草剤を散布して余分な雑草を枯らせ、ある程度小麦を乾燥させる
事で収穫量を安定させる手法で、北米や一部の欧州諸国でも用いられているやり方です。

このプレハーベスト処理のためか、3国原産の小麦からはかなりの確率で残留農薬である
グリホサート と呼ばれる成分が検出され、これは発癌の危険性あり、ということで世界の
多くの国々が使用禁止の方針を表明している成分です。

日本はこの3国の小麦が主流となって流通していますから、小麦粉を精査するとかなりの
頻度でグリホサート 成分が検出され、小麦粉が体に悪い理由とされるのはこの点が
注視されているからでしょう。

多くの国々が禁止を表明する中、日本はこの成分に関する規制数値を
緩和させる方針をとりました。

消費者、国民の健康を蔑ろにするような措置に思えます。

グリホサート に関する記事は他のページでも紹介していますので、是非そちらも
ご参照いただきたいのですが、アメリカではこの成分に関する訴訟問題で製造企業が
多額の和解金を原告に支払う事態に至りながらも、現状において企業側は「許容数値内で
あればグリホサート に危険性はない」との認識でいるようです。

この成分を含んだ著名な農薬・除草剤は、製品名「ラウンドアップ」と呼ばれる除草剤です。

ラウンドアップはアメリカのモンサント社が開発した商品で、世間に販売が開始されてから
もう50年近くが経過する製品です。ラウンドアップは日本でも今現在も除草剤として店舗で
販売されています。

モンサント社はその後、ドイツの多国籍企業 バイエル社に買収され、
モンサント社の抱えていた訴訟問題はバイエル社が引き継いでいる様です。

グリホサート 成分は今現在、世界的に観てその使用の是非が大きく問われているかと思います。

EU諸国はかなり厳格な姿勢であるのに比べ、米国は許容数値内であれば問題無しとの姿勢の様で、
日本は許容数値を緩和してしまいました。はっきりとした安全性の確認はまだ時間が必要
なのかもしれませんが、消費者側は小麦がこの様な人体への危険性を抱えている事を注視して
おいた方が良いでしょう。

もちろんそれはグリホサート 成分を抱えた小麦であって、例えば国産の小麦の場合は
この成分が検出される例は少ない様です。国産小麦はより安心と言えます。

ちなみに今現在商業的に流通している小麦は、品種改良などは成されてきていますが、
アメリカの大豆やトウモロコシの様な遺伝子組み換えは成されていません。

消費者が食品の安全性に注意を払い、危険な食品成分を避ける様になれば、
メーカー側は危険な成分を使用した商品は売れないため、安全な成分を使用した
商品開発を考慮する様にもなるでしょう。

アメリカや台湾では、消費者が発がん性のある成長ホルモンを使用した牛肉や牛乳は
拒否する姿勢を示し、反対運動を起こすなどしています。そして、海外で売れなくなった
食品がその後どこへ向かうかというと、規制の緩い日本にそうした食品が流れてくる構図が
できつつある様なのです。

これを防ぐには消費者が食に関する安全意識を高め、危険な成分を避けねばなりません。



error: Content is protected !!
PAGE TOP