ラクトパミンとは 輸入の豚肉 牛肉に含まれる残留成分
―― 日本では禁止、しかし輸入肉では黙認されている成長促進剤の正体
日本の食卓に並ぶ輸入豚肉や牛肉。
その一部に「ラクトパミン」という成分が残留している可能性があることを、
どれほどの消費者が知っているでしょうか。

国内では使用禁止。
しかし海外からの輸入肉については、一定の基準値以内であれば残留を容認。
この矛盾を抱えた様な構図は、今も静かに続いています。
1.ラクトパミンとは?──成分・由来・製造方法
ラクトパミン(Ractopamine)は、βアドレナリン作動薬(βアゴニスト)と呼ばれる
合成化学物質です。もともとは人間の体内で分泌されるアドレナリンに似た作用を持つ物質で、
神経系や筋肉、心臓に影響を与えます。
・天然成分ではない
重要な点として、ラクトパミンは
植物や動物から抽出された成分ではありません。
石油由来の化学原料を使い、
化学反応によって人工的に合成される医薬品系統の物質です。
・医薬品に近い性質
ラクトパミンは、
- 神経伝達物質に作用
- 筋肉細胞の代謝を変化させる
- 心拍数・血圧に影響を与える
という性質を持ち、**食品成分というより「薬理活性物質」**に分類されます。
この点が、日本やEUが慎重な姿勢を取る大きな理由です。
2.ラクトパミンは何のために使われるのか?
◆ 主目的:家畜の「赤身肉」を増やす
ラクトパミンは、主に以下の目的で飼料に添加されます。
- 脂肪の蓄積を抑える
- 筋肉(赤身)を増やす
- 飼料効率を高める(少ない餌で大きくする)
結果として、生産コストの削減、見た目の良い赤身肉の大量生産が可能になります。
・ 利用される家畜
- 豚、牛、七面鳥
などで使用されてきました。
それ以外の用途は?
基本的に食肉生産以外の用途はほぼありません。
つまり、ラクトパミンは「人が摂取する食品を効率化するためだけ」に使われる化学物質です。
3 ラクトパミンによる中毒症状とは
―― 人体・家畜で確認されている具体例
ラクトパミンは「毒物」ではありませんが、
過剰あるいは感受性の高い個体では“中毒様症状”を引き起こすことが知られています。
◆ 人体で懸念される症状
ラクトパミンは交感神経を刺激するため、以下の症状が報告されています。
- 動悸・心拍数の増加
- 血圧上昇、頭痛、めまい
- 手指の震え(振戦)
- 不安感、焦燥感、睡眠障害
- 吐き気、食欲不振
特に、
- 心疾患のある人・高齢者・子ども・妊婦
では、影響が出やすい可能性が指摘されています。
◆ 家畜で報告された症状
動物実験や実際の畜産現場では、異常興奮、歩行困難、心拍異常、筋肉の硬直、突然死
などが報告され、これがEU諸国で動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点からも問題視
される理由になっています。
4 スポーツ選手と薬物検査──食肉由来成分の現実的リスク
ラクトパミンは、ドーピング禁止物質と同系統に分類されるβアゴニストです。
実際の事例
2010年代以降、中国・アフリカ・中南米の陸上競技選手を中心に、
- 海外遠征中の食事
- 現地の豚肉・牛肉摂取
後に、βアゴニスト系物質の陽性反応が出たケースが複数報告されています。
これらの中には、
- 大会名:アジア大会、アフリカ選手権
- 種目:陸上短距離、投擲種目
- 処分:出場停止(軽減・免除された例もあり)
といった具体例が存在します。
※なお、ラクトパミンそのものと断定されたケースは限られますが、
**「食肉中の成長促進剤残留がドーピング問題を引き起こす」**という事実は、
国際的に認識されています。
5.日本国内でのラクトパミン規制は、このままで良いのか?
日本では、国内使用禁止、 輸入肉:基準値内なら容認という立場を取っています。
一方、台湾ではラクトパミン牛肉を巡り、大規模な市民デモ、国会での激しい論争、政権を
揺るがす社会問題にまで発展しました。
◆ 日本で問題化しない理由
東京大学特任教授・鈴木宣弘氏は、この状況に対し、「日本は食料主権を失い、
危険性より“貿易上の都合”を優先している」と警鐘を鳴らしています。
さらに日本では、グリホサート規制の緩和 輸入食品基準の国際標準化など、
消費者保護より流通優先と見える政策が続いています。
輸入食品基準の国際標準化、とありますが、この点に関しては日本は世界的に危険視されて
いる成分の許容数値が緩和されたりと、世界の潮流に反する動きも見られます。
◆ ラクトパミンの安全性 本当に必要か
ラクトパミンは、今すぐ健康被害を起こす毒物ではない。
しかし、神経系に作用する化学物質である。長期影響には未解明な部分が残る
という成分です。
「この成分を、あえて家畜の飼料に含める必要があるか?」
脂肪を抑え、赤身肉部分を増やすため、あるいはコスト削減のためこの成分を飼料に
混ぜていますが、こうした人間側の都合のみで家畜に安全面で懸念の残る飼料を投与する
ことは、結局は巡り巡って人体へ還ってくることになります。
合成化学物質によって脂肪を減らし赤身肉を増強する作用には懸念が残ります。
日本の消費者は、知らされないまま選ばされている面もあります。
だからこそ今、「問題はない」と流すのではなく、「不信感の残る成分は使用を控える、
選ばない」といった姿勢も必要なのではないでしょうか。
6 日本の食品表示制度の限界
―― なぜラクトパミンは「見えない存在」なのか
多くの消費者がラクトパミンの存在を知らないのは、積極的に報道されていない、
そのせいか輸入肉の残留成分に付いて知らない、あるいは日本の食品表示制度が「使用成分」
まで表示させていない事も原因かと思います。
◆ 原産国表示はあっても「使用薬剤表示」はない
日本の制度では、食肉について以下の表示義務はあります。
- 原産国名(例:アメリカ産、カナダ産など)
- 食肉の種類(豚肉、牛肉など)
しかし、
- 飼料に何が使われたか
- 成長促進剤や薬理活性物質が使用されたか
については、表示義務が一切ありません。
つまり消費者は、「どのような飼育方法で、どんな薬剤が使われた肉なのか」を
知る術がない状態で購入しているのです。
◆ 「基準値以内=安全」の確実性は?
行政側はよく、「基準値以内であれば健康への影響はない」と説明します。
しかしこれは平均的な成人・短期的摂取・単一物質のみの評価を前提とした話です。
現実には、子どもや妊婦 体質的に影響を受けやすい人 他の化学物質との複合曝露といった
要素が考慮されていません。
表示がなければ、消費者は「避ける選択」すらできない。
現在の日本の食品表示制度は曖昧な表記が多い。
この点に関しては「食品の裏側」のご著書で知られ、食品添加物の元トップセールスマンの
安部司氏も指摘されています。表示の法規制が緩いため、見極め難い。
海外からの輸入畜産肉には安全面で不安の残る成分が残留していることがある。
こうした不明瞭な部分を意識した消費者でないと、食品の裏側は読めません。
消費者もこの点を注意して自衛したいものです。
◆ 台湾との決定的な違い
台湾では、ラクトパミン豚肉を巡り、 使用の可否、 表示の是非、
消費者の知る権利が社会全体の議論になりました。

一方、日本では、制度は静かに運用され国会でも大きく議論されず、消費者に説明される
ことも少ない。この「静かすぎる合意形成」こそが、最も問題視されるべき点かもしれません。
7 消費者が現実的にできる自衛策
―― 食品の経緯を知り、情報で身を守る
残留成分のラクトパミンを避けるには、国産肉を選択することが賢明です。
①国産肉を選ぶ(最も確実)
日本国内では、ラクトパミンの使用は認められていません。
そのため、
- 国産豚肉、国産牛肉
を選ぶことは、最もシンプルで確実な回避策です。価格差はありますが、
「何を避けたいか」を明確にすることで、納得した選択が可能になります。
②原産国を意識する
ラクトパミン使用が認められている主な国は、
・ アメリカ、 カナダ、 メキシコ、 オーストラリア
これらの国の輸入肉=必ず含まれる、ではありませんが、使用されている可能性がある
ことは理解しておく必要があります。
子ども・妊婦・高齢者の食事は慎重に
ラクトパミンの影響は、神経系、 心血管系に関わるため、成長過程・体調変動の大きい
人ほど注意が必要です。家庭内で、
- 子どもの主菜は国産中心
- 妊娠期は輸入加工肉を控える
などの配慮が無難です。
食品の裏側・経緯にも関心を
輸入される牛肉・豚肉に残留している可能性があるラクトパミンについて記述してきました。
台湾ではこの成分の是非を巡って大論争が起こりましたが、日本ではさしたる問題にも
至らず、輸入肉は静かに食品コーナーに陳列されていることを感じます。
アメリカは許容数値内であればラクトパミンの投与を認めているようですが、
それならば米国の消費者はこの成分の残留に無頓着かというとそのようにも思えません。
これは個別に形態を調査しなければわかりませんが、現地の業者によっては国内向けと
日本輸出向けによってラクトパミンの投与量を変えている業者もあるかもしれません。
アメリカでは乳牛にボバインソマトトロピン(BST)という合成ホルモン剤を投与することが
認められていて、これは牛の成長を早める、乳量を増やす目的での投与ですが、このホルモン
剤が牛乳に含まれるインスリン様成長因子-1(IGF-1)を増加させ、人体で発癌性のリスクあり
と調査結果が出てからは消費者の間で不買運動が起こり、スターバックスや大手飲食品店なども
BST投与の牛乳不使用を宣言するといった動きがありました。
このためアメリカではホルモン剤が投与された牛の牛乳はアメリカ市場からほぼ淘汰された様
ですが、若干ながらまだこのホルモン剤を投与された牛の牛乳が流通しているようで、それが
どこへ向かうかというと規制のゆるい日本へと輸入されている様なのです。
直接牛乳としてよりも、アメリカ産のバターやチーズなどに加工された状態で含まれて
いる可能性が高く、これら乳製品に成分残留チェックはされていない様なので購入者は
気付かない内に成分を摂取している可能性があります。
こうした加工食品に流用されている点まで考慮すると、日本は遺伝子組み換え食品や
危険視されている成分の大量消費国とも言われ、ラクトパミンが台湾ほど問題視されずに
流通している様子からも伺えますが、食品 に対する自衛の意識が緩慢である様にも感じます。
特に、幼い子供達は家庭でお母さんの作ってくれたお料理を安心して食べます。
「残留成分が、、、、」などと不安を感じながら口にする子供は稀でしょう、、、。
子供たちの健康や体は親御さんが守ってあげなければなりません。
豊富に食材が揃った環境ですが、国内では使用・投与が禁止されていながらも、
見極めにくい形で輸入食品に危険視されている成分が含まれている可能性、そして現在の
日本は食料自給率が非常に乏しい点も意識しておくべきです。
参考情報
- Codex Alimentarius:https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/

