政府備蓄米の販売期間が延長へ 販売予定はいつまでか

期間延長して9月以降も販売されることになった備蓄米

随意契約によって政府から放出された備蓄米の販売期間の延長が公表されました。
当初この備蓄米の販売期間は8月末までという条件が設定されていたようで、今月に
入ってからは 注文のキャンセルを申し出る小売店業者さんが相次いでいた様です。


8月いっぱいまでの期間で販売し尽くす事は難しいとの判断からでしょう。そもそも
備蓄米を注文して から期日になってもまだ到着しない、といった状況が発生していた
様です。

小泉農水相はこれまでの入札方式による放出を改め、希望する業者にはスムーズに
備蓄米を 入手できる様、随意契約による放出を採用して迅速に備蓄米を放出させまし
たが、入手できた業者さん は都心部や大手の小売店が主で、それ以外の地域や小規模
小売店にはなかなか行き渡っていない 状況が発生していたかと思います。

現時点では実際に売店の商品棚に並んで消費者に購入された備蓄米は約10万7千トン
程度だと 診られています。備蓄米は各地の大規模な倉庫に保管されており、出荷には
トラックの手配、精米作業、 袋詰め、配送といった工程を経るため短期間に大量の米を
市場に出す事に大きな労力がかかり、特に 地方の倉庫で出荷能力が追いつかない点も
報道されていました。

今回の放出にはコンビニなどの業者さんも加わっていましたが、期日までに
到着しないという事態から キャンセルなどが生じ、こうした事態が計画された放出量と
実際の販売量の大きな乖離を生んだと されています。

業界や流通現場での対応と政府の補助策

こうした現状に直面した小売業者や流通大手は農水省に対して早い段階から
「販売期間の延長」を 要望していたとされます。やはり購入量を考慮すると8月末
までという販売期間では倉庫から店頭までの 工程を考えると期間が短すぎるという
懸念はされていた様です。

小泉農相の決断によって随意契約の備蓄米放出は総量約50万トンが市場提供
される計画でした。 しかし、5月末に始まった放出は、6月から7月にかけての
業者からの申し込み状況を見ると契約が 成約したのは約30万トンにとどまっています。

物流面での負担、販売期間の短さ、精米や包装に要するコストなどを考慮し、
業者側も慎重を期す姿勢だったと思われます。前述の様に現時点で実際に小売店で
販売され消費者に渡った備蓄米は 約10万7千トン程度とみられています。

購入したいがなかなか店舗に並んでいない、という消費者も多かったと思います。

そして報道でよくみられた停滞の原因に、備蓄米保管倉庫内での出荷作業の困難です。
備蓄米は非常時用・緊急事態に備えてのお米なのでいつでも出荷できる状態が求められ
ますが、 今回は非常事態・緊急とはいえないかと思いますが50万トン(実際の
申し込み量は30万トン)という多量の放出で倉庫現場も相当な 作業量が発生し
救援が求められたのでしょう。

小泉農相はこうした現場の声から6月以降に複数の追加措置を講じています。
一つには倉庫業者に対して作業料金の引き上げを行い、倉庫からの出荷作業や
精米作業にかかるコストを補助する仕組みを設け、人員・設備の増強を後押し
しています。

ほか、流通面に関しては円滑化を図るため、トラック輸送の調整、精米工場へ
の優先枠を割り当てたりも行われていますが、物流全体が逼迫していた状態を
完全解消するまでは叶わず、販売期間内に全量を 出荷する事は困難と判断し、
今回の販売期間延長という措置に至ったのでしょう。

販売予定期間について

放出量から考えられる倉庫作業量や精米工程、配送などを考えると8月いっぱいまで、
という期間は短すぎる、販売期間延長は当初から想定されていたのでは、とも思えます。

小泉氏の随意契約による放出決断で、それまでは参加条件や手続きが複雑で限られた
業者しか 調達できない形態であった備蓄米の購入に、購入を希望する小売店や業者も
参加できた事は大きな 変化をもたらしたと感じます。

しかし、今回の放出は緊急事態や非常時とはいえない状態でしょう。
よく実態を考えると、当初の計画による50万トンもの放出量に対し、実際には
申し込みがあったのは約30万トン、そのうち消費者に購入された分量は
約10万7千トン。遅れが生じて期間内に配送ができずキャンセルが相次ぎ、
販売期間の延長。これからは今年の新米が出回る時期になります。

消費者にとって値段の違うお米を自由に選択できるというのはとてもありがたい
環境で、新米だが値段が高い銘柄米を選ぶか、古米だが値段の安い備蓄米を選ぶか、
それぞれです。

しかし、備蓄米の販売期間が延長され販売コーナーに長く並ぶと、備蓄米制度の
意義が曖昧に なりかねません。本来は非常時の際に放出するお米です。

備蓄米の販売予定期間がいつまでか、については近く農水相から正式な
発表が予定されています。

放出の量やタイミングが果たして良い判断であったかどうか、
判定はまだ時間がかかりそうです。