🐘 アニマルウェルフェアと動物園 「5つの自由」
動物たちの飼育環境について
近年、「アニマルウェルフェア(Animal Welfare)」という言葉が注視されています。
簡単には動物たちの飼育環境をストレスの無い様に整えようという事でしょうか。
犬猫の多頭飼育の劣悪な状態が報道でよく観られたりします。
高額で売買される品種などが不衛生な状況で交配、出産だけをさせられ、
まともな世話を受けていない。
犬や猫はペットとして人間に身近に存在していますので報道にも出やすい
でしょうが、家禽・家畜はどうでしょうか。
人間の豊かな食生活の供給源になってくれている家畜の飼育環境に関心が持たれる
ことは結構な事だと思います。
アニマルウェルフェア や家畜の飼育環境、品種改良によって家畜がどの様な状態に
置かれているのかを考察してみようと思います。
まず、畜産業ではない、観賞用の動物たち、動物園を考えて観ます。
アニマルウェルフェア は動物園の分野でも注目を集めています。
単なる「見せる場所」から、動物の尊厳と福祉を守りながら、学びと共感を生む空間へ──。
その基盤となるのが「5つの自由」という国際的な指針です。
このページでは、動物園におけるアニマルウェルフェアの基本と、東京都をはじめと
する日本の自治体や企業の取り組みを解説します。
🌿アニマルウェルフェアとは?
「アニマルウェルフェア(Animal Welfare)」とは、動物の心身の健康と快適さを
尊重する考え方です。
「生存するだけ」ではなく、いかに苦痛なく、自然な行動ができる環境を
整えるかが重視されています。
その基本にあるのが、FAWC(英国動物福祉委員会)が提唱した「5つの自由」です。
5つの自由 | 内容 |
① 飢え・渇きからの自由 | 適切な餌と水を与える |
② 不快からの自由 | 快適な飼育環境を整える |
③ 痛み・傷害・病気からの自由 | 予防と治療を徹底 |
④ 正常な行動を表現する自由 | 本来の行動ができる環境を提供 |
⑤ 恐怖・抑圧からの自由 | ストレスや不安を与えない |
動物園でも、この指針が運営方針の基盤となりつつあります。
🏙東京都の「アニマルウェルフェア東京」
東京都は「アニマルウェルフェア 東京」という名称で、動物福祉の啓発事業を
展開しています。
- 動物園での展示方法の見直し
- 飼育環境の改善と医療体制の充実
- パネルやイベントを通じた市民への理解促進
たとえば上野動物園や多摩動物公園では、「檻の中に閉じ込める」展示から、
自然に近い環境の放飼場へと移行が進んでいます。
🐅環境エンリッチメントの重要性
アニマルウェルフェアでは「環境エンリッチメント」という考え方が非常に重要です。
- 飼育動物が退屈しないような仕掛けを作る
- 本来の行動を引き出すための空間設計
- 飼育スタッフによる観察と対応
例えば、肉食動物には狩りに似た行動を促す給餌方法、霊長類には知的刺激となる
遊具を与えるなど、「生きた時間」を提供する飼育が進められています。
🤝動物園 × 企業・NPO の連携
近年では、企業やNPOとの連携によって新たな展示や保全活動も活発化。
- アニマルウェルフェアアワードの表彰対象になる動物園も登場
- 飼育改善プロジェクトや教育イベントの開催
- 国際基準を意識した展示・飼育への移行
これにより、来園者も「見る」だけでなく「学ぶ・考える・参加する」動物園へと
変化しています。
🌱アニマルウェルフェアのまとめ
- アニマルウェルフェアの「5つの自由」は、動物園でも基本指針
- 東京都をはじめ自治体が動物福祉への取り組みを強化
- 環境エンリッチメントが展示の中心に
- 企業・NPO・来園者が一体となった「共感型の動物園」が広がりつつある
アニマルウェルフェアは、観賞用の動物に対しても「いのちの尊重」を
忘れない社会のあり方を映しています。
ここでは動物園の飼育環境について大雑把に記述しましたが、次のページでは
畜産、養鶏や養豚場の鳥や豚がどの様な環境に置かれ、品種改良によりどの様な
症状が出ているのかを考えて観ます。