政府備蓄米  随意契約による放出先  会社や企業


随意契約とは  備蓄米の売渡価格など

政府備蓄米が随意契約によって放出され、店頭にて販売が始まりました。

現時点では、江藤氏による初回の備蓄米放出と、小泉氏に代わってからの随意契約
による備蓄米の放出がなされ、市場で販売されている備蓄米には多少値段に違いが
見られる状態になっています。


この随意契約とは、通常の競争入札を行わずに契約の相手方を行政が直接選定して
締結する契約方式です。


通常、行政が契約を結ぶ際には公平性・透明性の確保のために「一般競争入札」や
「指名競争入札」を行いますが、一定の条件を満たす場合に限り、随意契約が認めら
れています。


随意契約は、①緊急性がある場合 ②競争が不適当な場合 ③少額契約の場合 
④長年の実績がある相手との継続 といったケースで利用されます。


令和の米騒動として米不足とコメ価格の高騰化が発生し、前任の江藤氏による
備蓄米の放出がなされてからも市場にあまりコメが出回らずコメ価格の低下も
見られないため、迅速な米価格高対策と緊急なお米の提供の為、随意契約による
売渡を小泉氏が決断されたと思われます。


これまでの備蓄米の放出を振り返ってみます。


・初回の入札(2025年3月)競争入札。対象は2024年産10万トン。
2023年産が5万トン。平均落札価格2万1217円/60kg。同量の米を1年
または5年以内に政府が買い戻す条件が付いている。


・第2回入札(2025年4月)対象は2024年産4万トン、
2023年産3万トン。平均落札価格は60kgあたり2万722円。


・第3回入札 : 対象2023年産、約10万トン。平均落札価格は2万302円。


・随意契約による備蓄米放出:(売渡価格1万1556円/60kg。  2022年産米が
20万トンと2021年産米が10万トンの合計30万トン。 放出先は年間取扱数量が
1万トン以上の大手小売会社・企業など。ただ、2021年産米は年間取扱数量が
1万トン未満の中小小売業者にも放出。買い戻し条件などは無し)



5月の末日から6月初頭と、随意契約によって放出された備蓄米が店頭に並び始めました。


イオンは政府備蓄米を約2万トン調達し、全国の店舗で販売を始めました。

店舗によって異なるようですが、「イオンスタイル品川シーサイド」では5kgあたり
2138円(税込)での販売のようです。6月2日からは千葉県の「イオンスタイル
幕張新都心」 愛知県の「イオン熱田店」 大阪府の「イオン大阪ドームシティ店」
で順次販売が開始されています。

アイリスオーヤマでは5月の下旬に政府と1万トンの備蓄米を買い取る随意契約を
結んでおり、今後約2ヶ月に渡って全量を受け入れて順次店舗にて販売して行くことが
報道されています。


ほか、ドンキや、ロピア・スーパーバリューといった企業や会社が随意契約で調達し、
全国の店舗にて販売を順次開始し始めています。


契約を結んだ企業や会社は他にも何社か有るようです。

楽天グループ

ライフコーポレーション

サンドラッグ

オーケー

カインズ

ミスターマックス

シジシージャパン

マルアイ

ゼンショーホールディングス

ベルク

三和

酒商増田屋

タイヨー

斉鑫

東穀

宮城商事



随意契約による放出で店舗に円滑に低価格で備蓄米が並びましたが、

初回~3回の放出米はどうなっているのか。これらの放出米はJA全農が全体の
約95%を落札したとされ、先日の報道では6月5日の時点でそのうちの約49%に
当たる14万4595トンが卸売業者に出荷されたことがJAから公表されています。

店頭に並んだ初期段階の備蓄米は農協経由のお店が一番早かったかと思います。


例えばJAグループとして全国でおよそ550店舗を展開する「Aコープ」福井市の
やしろ店ではJA福井県が落札した備蓄米「ハナエチゼン」を4月上旬に販売している
ことが報道されていました。5kgで税込3434円。販売開始当初は若干値段が安く
なったお米として比較的購入しやすい印象でしたが、現在は随意契約による備蓄米が
大手小売り企業や会社から店舗に約2千円弱の値段で並び始め、それらと比較すると
若干高めな値段になってしまいました。


「Aコープ」では「このまま販売を続けるかは現時点では決めかねている」
との報道がありました。


これまでに店舗で販売された備蓄米の一例を挙げてみます。

ハナエチゼン

前述のAコープさんが比較的早い段階で販売された備蓄米。




和の輝き

大手小売企業のアイリスオーヤマさんが随意契約で入手し販売されている備蓄米。

   

古古米 古古古米の産年は?


例に挙げた備蓄米の詳細を記述してみますと、4月にAコープさんが店頭で
販売していた備蓄米は2024年産のお米で、品種も単一のハナエチゼンと
はっきりしており、「ハナエチゼン」と記載してある状態で販売されていました。


2024年産のお米のせいか「品質は変わらない」との理由で「備蓄米」との
表記もありません。


「和の輝き」は、アイリスオーヤマさんが随意契約にて手掛けている備蓄米で、
5月末日から販売が始まりました。和の輝き、というのはお米の品種名では
ありません。商品名になります。原料表示には、国内産、複数原料米、などの
表記がなされています。


アイリスさんは大手小売企業になるでしょうから、和の輝きに使われている
お米は2022年産のいわゆる、“古古米”になるはずです。

前述のように今回の随意契約では、年間取扱量が1万トン以上か、1万トン未満かで
大手小売か中小小売業かに分かれ、扱うお米も古古米か、古古古米かに分かれるようです。

古古米、古古古米といった報道が見られますが、それらはそれぞれ何年産のお米になるのか。

古古米 古古古米の産年について


一般的に、備蓄米の年度は「収穫年(産年)」に基づいて分類されます。


  表現         該当する産年            補足 
  

・ 新米         直近の産年       例    2024年産         

・ 古米(1年経過)   前年産         例 2023年産米(令和5年産米) 

・ 古古米(2年経過)  2年前の産年      例 2022年産米(令和4年産米)

・ 古古古米(3年経過)  3年前の産年     例 2021年産米(令和3年産米) 




2025年現在、今年の新米はまだこれからですので、

古古米、古古古米の産年は上記の様になります。


備蓄米は、放出される際には「複数原料米」の状態、表示で出される傾向に
あるようです。これは、単一品種で品種名が記載されている場合、食味が劣る
ようならその品種の評価が落ちてしまうリスクを抱えていることも原因かと
思われます。


産年についてはしっかりと別けられており、異なる産年のお米をブレンドすること
はなく、例えば2023年産のお米と2022産のお米を混ぜるようなことは通常は
ないようです。


例に挙げたハナエチゼンが単一品種名で産年も2024年度産のものが店頭で
販売されたのは放出米としては少し特異なケースになるかと思われます。


ハナエチゼンは福井県を代表するお米の品種の一つで主に福井県内で栽培されている
早生(わせ)品種のうるち米です。  ハナエチゼンに関する説明を大まかに記述して
みます。



品種名    ハナエチゼン(コシヒカリ系統)

分類     水稲うるち米(早生品種)

開発元    福井県農業試験場

育成年    1991年(平成3年)育成・1994年品種登録

主な産地   福井県   一部石川県  富山県など

収穫時期   8月中旬~下旬(コシヒカリよりも約10日早い)

味の特徴   ややさっぱりめの味わい、柔らかめの食感、粒ぞろいが良い

外観・形質  白度が高く、炊き上がりが美しい。やや粘りは少なめ、さっぱり系。

用途     主食用のほか、外食・加工用としても需要あり(業務用でも人気)



◆ 名前の由来は

・ 「ハナ」= 花のように美しい(粒の外観)

・ 「エチゼン」=福井県 旧国名「越前国」より



備蓄米の放出状況

6月中旬現在の備蓄米の放出状況をまとめますと、江藤氏の時に通常の入札方式により放出されたお米(2024年産や古米)、小泉氏に変わってからの随意契約によって放出されたお米(古古米や古古古米)が市場に並んでいる状況です。江藤氏の時に出されたお米はほとんどが農協に卸されており、政府に買い戻す条件もあるせいか、あまり市場に出回っている印象を受けません。小泉氏による放出米も都心部には早くに出回りましたが、地方にはまだこれからといった印象を受けます。


6月10日には、小泉農林水産大臣がさらに新たな随意契約による
備蓄米20万トンの売渡を発表しました。 このうちの半分の10万トンは
2020年産のいわゆる“古古古古米” です。


このお米は店頭販売で5kg約1700円あたりを見込んでいるようです。

この20万トン全てが売却されると、その時点での政府備蓄米の残量は約10万トン
になるとされます。


これから政府から放出されたお米が各地の店頭で並ぶことが予測されます。

先日近くのスーパーの食品コーナーでも備蓄米と思われるお米が販売されていました。

表示は「複数原料米・国産10割」、 品種・産年については表記なし、
値段は3千円台半ば。


これらから推測するとこのお米は江藤氏の時に放出された古米になるかと
思われます。消費者が期待しているのは一般的な銘柄米が例年通りの購入しやすい
値段で店頭に並ぶことであって、一時的に値段の手頃なブレンド米が並んでも今後
の銘柄米の値段が落ち着くかどうかは不透明です。


日本人の主食のお米が流通形態において大きな変革期に来ているように感じます。